小窓のオモイ?
その時は、どこがどういう風に「近づいた」のか、自分でも分かりませんでした。
今なら、分かります。
本の中の広い世界に入って行くのが好きだった。でも、その世界を自分で作り出すことは出来ないと思っていた。
でも、長い長いお話しを書くことができなくても、その世界を少しずつ取り出して形にすることは可能かもしれない。
私の豆本は、本の世界を覗き込む「小窓」です。
小さ過ぎるその窓からは、体ごと入って行くことは出来ませんが、
そこから見える景色が魅力的であれば、その奥に広い世界があることを感じさせることが出来ると思うのです。
手にとった途端、どうしても手放すことが出来ないような本。
それを、私は「魔法がかかった本」と呼んでいます。
これからも、小石を一つずつ積み上げて行くように、この世界に小さな魔法をばらまいて行きたい。
小窓から見える景色は、一人一人違うのかもしれません。
その中に、一つでも気に入った景色を見つけてもらえたら
そして本の魔法を感じてもらえたら・・・
それが、小窓文庫の喜びです。