小窓のオモイ?
「指輪物語」と出会ったのは、小6の図書室でした。
「指輪物語」はとても長いお話しです。
時にはうんざりしながら、時には心躍らせながら、私は登場人物と共に、その世界を旅しました。
長い旅が終わって本を閉じた時、私は初めてその装丁に気がつきました。
物語の最後の方に、主人公のフロドが自分の冒険を一冊の赤い革表紙の本にして残したという記述があります。
私の手の中にあったその本は、くすんだ赤一色の飾り気のない地味な表紙でした。
箔押しで題名が入っているだけだったと記憶しています。
その時私は、自分がさっきまで読んでいた本が、フロドが書き残したその本だと思ったのでした。
「この世界が指輪物語とつながっている!」
本の世界がどんなに好きでも、その中にずっとい続けることは出来ませんでした。
でも、自分の今いる世界が指輪物語の中に含まれていると、その瞬間私は錯覚したのです。
冷静になって考えてみると、その本は赤い革表紙ではなく、赤いクロス張りの本でした。
もちろん、そうでなくても「そんなはずはない」ことは当然分かってはいました。
それでも、その錯覚(勘違い^_^;)とその時味わった感動が、今も私の本を作る原動力であり、本の装丁に興味を持ったきっかけとなったのです。